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基礎看護学実習Ⅰ発表会

令和5年8月3日(木)
基礎看護学実習Ⅰは、1年生で経験する初めての実習です。
実習病院は光市立光総合病院、周南市立新南陽市民病院、徳山医師会病院の3病院で、学生たちは、3病院の内のいずれか1病院で実習を行います。
この日は、実習で学んだことをお互いシェアするための発表会が行われました。

実習を終えた翌日。午後からの発表に向け、午前中は、発表会で使用するスライドを情報処理室で作成。
実習担当の先生と共に、病棟実習に一緒に出たメンバーと、一生懸命取り組んでいました。

発表会

午後、発表の時間になりました。途中一回休憩を挟み、前半は光市立光総合病院と周南市立新南陽市民病院で実習を行ったグループ。後半は徳山医師会病院で実習を行ったグループの発表でした。病院や病棟によって、入院されている患者さんの疾患や状態も異なるため、実習で経験することも様々です。そのため、疑問に思ったことや、もう少し詳しく知りたいことを聞けるよう、各グループの発表時間には、質疑応答の時間も含まれています。

グループ発表で出た実習で気づいたこと、学んだこと、経験したこと(一部)

  • カルテでも患者さんの情報はあるが、患者さんとのコミュニケーションを通して、より、看護に活かせる情報を直接くみ取ることができた。患者さんを深く知ることが、患者さんを支えることに繋がると感じた。・認知症の患者さんは、最近のことは忘れていても、過去元気だった頃の記憶はあり、昔のことを聞くと会話ができ、笑顔を見ることができた。
  • ただ話しをするだけでなく、表情や仕草から、患者さんの非言語的メッセージを読み解くことが大切。
  • 現場では、ペアもリーダーも変わる。ミスを減らすためにも、引継ぎの際には、申し送りを確実に行い、情報伝達はわかりやすく簡潔にするなど、看護師同士のコミュニケーションも重要と知った。
  • 患者さんによって、食事、ベッド環境、リハビリ、移動方法、コミュニケーションの取り方(話せる、筆談、ボード使用)が違うため、患者さんの個別性をしっかり把握、理解したうえで、ひとりひとりに合わせたケアを行うことが大切と学んだ。
  • 高齢の患者さんは一人で動けない方が多い。皮膚が弱いため褥瘡もできやすく、疼痛・筋力低下・しびれから、転倒もしやすく、注意が必要。そのため、患者さんに合わせて、耐圧分散型のマットレス、滑り止めシート、踏むとナースコールが鳴るマットなどが、適切に使用されていた。また、皮膚が傷つきやすいため、血圧測定で注意すべき事項を記入した紙も、ベッドの上の見える所に設置されていた。
  • 患者さんが快適に過ごせるよう、病室の空気(清浄さ、室温、設定)、明るさ、音、においなどにも気を配り、適切に患者さんの生活環境を整えることも、看護師の大事な役目とわかった。

質疑応答の際に出た質問と回答(一部)

Q
看護する際、ひとりひとりの症状に合わせた対応をしたとのことでしたが、患者さんひとりひとりの症状に合わせた環境の特徴はありましたか?
A

はい。ナースコールを押さずに歩く患者さんがおられ、ベッドを出たらわかるよう、床にコールマットが敷いてありました。その方は歩行困難で、車椅子移動される方だったので、ポータブルトイレも近くに置いてあり、患者さんに合わせた環境配慮がされていました。

Q
どんな時、クローズドクエスチョンが良かったですか?
A

認知症の患者さんと会話する時には、オープンクエスチョンだと返答が難しいため、クローズドクエスチョンが良かったです。
※クローズドクエスチョン:YES・NOのような2択で回答できる質問、または限定された選択肢の中から回答できる質問をすること
※オープンクエスチョン:回答の範囲を制限しない。回答にYES・NOなどの選択肢がなく、自由に回答してもらう質問をすること

Q
発表の中で、患者さんのADLに合わせて物の環境が変わると言われていましたが、何がどう変わるのか教えてほしいです。
A

最初、膀胱カテーテルを装着していて患者さんが動けない時には、その患者さんにとって必要な物がいろいろテーブルに置いてありました。その後、患者さんが回復され、カテーテルも外れ、多床室に移られると、歩行器を使えば離れた場所の物も手に取ることができるようになったため、テーブルの上の物がお茶とリモコンだけになり、とてもスッキリしました。
※ADL:食事や入浴、着替えなど、人が生活する上で必要な日常生活動作のこと

病棟指導者さん、先生からのコメント

徳山医師会病院の病棟指導者さんが、お忙しい中、発表会に参加してくださいました。

指導者さんから(一部)

  • 退院を見据えたコミュニケーションをするなど、目的を持ったコミュニケーションができていました。
    最初は慣れなかった血圧測定も、最終日には、ちゃんとできるようになっていましたね。患者さんの個別性について、事例をもとに、図も交え、わかりやすく発表されていて感心しました。
  • 5日間おつかれさまでした。コミュニケーションに苦労しながらも、みんなが認知症の患者さんに話しかける努力をしていて良かった。日々の業務で、私たちが見えていない点も見ていて、私たちもいい振り返りになりました。これからもがんばってください。
  • 患者さんの個別性に合わせた対応で、転倒予防なども行っています。みんなが関わって患者さんのことを考えることが大切。今後も、いろんな患者さんとの出会いから、いろんなことを学んでいってください。

先生から(一部)

  • 初日は緊張しすぎ、メモ帳がよくわからないメモだらけでした。いい患者さんに恵まれ、段々いい実習になっていったと思います。退院後のベッドを作る機会もあり、患者さんの身になって、ベッドの明るさなどが、患者さんにはどう見えていたか、実際に体験もできました。患者さんの中には、「入院生活がいつもより楽しかった。」「実習生に気疲れしたため、疲れでよく寝れた。」という方もおられました。自分たちも患者さんに影響を与える存在だということ、頭に入れておいてください。
  • 病棟でコロナが発生した中でも、患者さんの所に行って話がしたいと意欲的にみんな行動していました。患者さんとのコミュニケーションにみんな不安を持っていましたが、最後は、私と話すよりも、あなたたちと話す時の方が、患者さんも笑顔になられていました。コミュニケーションでは、患者さんの背景を知って話すことが本当に大切です。
  • 昨年は、病棟実習が途中から中止となり、学内実習になりました。今年はみんな、現場でしかできない経験をすることができ、良かったですね。環境整備は、自由に動けない患者さんや免疫の落ちている患者さんを守ることにも繋がります。テキストにも、どれだけ大切か書いてありますね。環境整備とコミュニケーション、どちらも本当に大切な基本なので、忘れずにいてください。

今回の実習の目的は、患者さんの環境を知ること、患者さんを理解するためのコミュニケーション能力を養うことでした。1月下旬から始まる基礎実習Ⅱでは、受け持ち患者さんの状態や疾患から、その患者さんに必要な看護のプロセスを考え、日常生活援助を実施する基礎的能力を身につけていきます。これから講義でも、プロセスを考えるために必要な知識やプロセスの考え方を学んでいきます。基礎実習Ⅱでも、しっかり学びを深められるよう、授業で教わっていることをしっかり身につけていきましょう。